電力自由化の先進国アメリカの現在

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米国の電力事情

statue-of-liberty-267949_640米国ではいち早く電力の自由化が進められてきました。
州単位で進められている自由化は現在、14州とワシントンDCになります。
全面自由化に進める経緯は日本にとっても学ぶべき教訓がありそうです。

米国では1990年代に電力自由化が進められました。
1990年代後半から2000年にかけて多くの州で電力小売り全面自由化が導入されることとなりました。
自由化により競争力を高め、安価な料金を提供し経済を活性化するという目的のもと進められた電力自由化ですが、その中に成功例と失敗例があるのは日本の電力全面自由化にも活かせる事例となります。

カリフォルニアの停電に見る電力自由化の失敗例

1998年に電力小売りの全面自由化を導入していたカリフォルニア州で2000年夏から翌年にかけて停電がおこるようになりました。

その理由のひとつとしてカリフォルニアでの自由化の進め方に問題があったといわれています。
自由化によってカリフォルニアの大手の電力会社は発電所を売却し、自らは発電せず他社から買電することになりました。
しかも電力会社の買電は長期の契約によらず次の日の電力取引市場のみと規定されました。
これによって電力取引市場では価格が変動して安定しませんでした。
発電の自由化によって新たな発電所が建設されるようになり、発電所間の競争が激化することで電力の値段が下がってサービスが向上するはずが、その競争原理が働きませんでした。
そして発電量が減り、送電線へのアクセスが困難となり電力配送が滞りました。
また電力需要の拡大と天然ガス価格の上昇、猛暑の影響による電力卸売価格の急上昇などにより必要な電力を消費者に供給できなくなります。
電力会社は高価な電力でも 発電事業者から購入せざるをえませんでしたが様々な規制があり上昇分を消費者に価格転嫁することができませんでした。
電力会社の経営は悪化する一方、発電事業者は利益確保のために供給をおさえると同時に電力会社へ電力を売り渋るようになります。
そしてカリフォルニア全体が電力不足に陥ったのです。

このように、カリフォルニアの電力自由化は失敗例として挙げられます。
現在、自由化廃止・中断州は7州にのぼり、カリフォルニア、ネバダ、アリゾナ、ニューメキシコ、モンタナ、アーカンソー、バージニアとなります。

米国の電力業界の今

米国には3千を超える電力供給事業者があります。
電力とガスの両方を供給しているものも多くあります。
その中で民間事業者の数は200ほどですが事業規模の大きいものが大半でその販売シェアは70%に近いそうです。
事業者の中で多いのは市や州などが運営する公営事業で、2000ほどです。
それに次ぐのが共同組合方式の事業者で900近くになります。
このほかにパワーマーケターと称される事業者も200以上あるしテネシー・バレー・オーソリティ(TVA)のような連邦政府が運用する事業者も10足らずあります。
現在自由化をフルに実施しているのはテキサス、ニューヨークなど16州に止まっています。
その自由化された市場で現在数千に上る事業者が電力供給とそれに関連したサービスの提供を行なっており、テキサス州だけでも700を超える数となっています。
電力会社間の競争は激化しています。
電力会社も工夫をし、たとえば一週間のうちに1日選択すればその曜日には料金を無料にするフリーパワー・デイを設けています。
この場合、週末を選択する顧客が多く、それは顧客にメリットがあるだけではなく、電力供給事業者にもメリットがあります。
オフピークの時間帯になるため、設備の利用率を上げるというメリットが出るからです。
このように電力会社も顧客をひきとめるためにさまざまな工夫をしています。

テキサス州は家庭部門以外の新規参入シェアは80%近く、家庭部門でも50%を超えており、他州に比べて際立って大きい割合となっています。
既存電力会社に対して発電・送配電・小売の法人分離を義務付け、小売を行なう場合への規制を設定するなど、規定を導入するほかに、さらに年2回燃料価格の変動を受けて価格水準の調整を行なうなどし、それらが成功例につながったといわれています。

電力完全自由化で競争化による利点だけがクローズアップされやすい日本ですが、米国のように成功例と失敗例があることを見本にし、顧客にも小売りにも利点がある電力供給の方法を見出したいですね。

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