新電力ネットワークシステムの安定性と信頼性は?

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はじめに

ppsnet1これを読んでいる皆様方は、おそらく「新電力ネットワークシステムって何?」と思われている方が殆どでしょう。ご他聞に漏れず、この記事を書いている筆者もそういった一人でございました。
そこで、読者の皆様方に分かりやすく、新電力ネットワークとは何ぞや?といった事を今からご説明してまいりましょう。

新電力ネットワークは何故必要になったのか?

旧来の10電力体制におきましては、各々の電力会社が保有するコンピューター・サーバーによって、発送電量がコントロールされてきました。そしてそれは2015年現在も続いていおります。現代日本における電力の安定供給に一役買っている側面は否定できませんが、福島第一原子力発電所の事故を契機にして環境を致命的に破壊してしまいかねない原子力エネルギーをエンドユーザーが敬遠する動きが加速しているのもまた事実です。イギリスやイタリアをはじめとした海外では既に発送電分離が成されておりますが、日本では2016年4月に電力小売の完全自由化が成される事になっても、発送電分離は先送りになる、というのが実情なのです。
実のところを申し上げますと、風力発電や太陽光発電といった新電力各社がしばしば用いている発電方法における課題は、その発電量の不安定さにあります。そうです、風力発電も太陽光発電もその日その日の天候によって発電量そのものが左右されてしまうのです。そこで、バイオマスや地熱発電などといったクリーンかつ安定供給の望めるエネルギーに期待が寄せられている次第なのですが、これらのエネルギーにしても日本独自の事情で(殊に地熱発電は温泉地が多いという事情にて)現在の供給に足りるだけの需要をもたらすのは今すぐには難しいというのが現状なのです。
新電力ネットワークが必要となった背景には、こういった事情が存在しています。

新電力ネットワークの仕組み

では、実際に構築されるであろう新電力ネットワークとは一体どんなものなのでしょうか?
今回此処では、実際にNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の公募による「新電力ネットワークシステム実証研究 品質別電力供給システム実証研究」を行うために構築された設備である、東北福祉大学 エネルギーセンターの事例を取り上げてみましょう。
東北福祉大学 エネルギーセンターのホームページによりますと、本実証研究は平成16年度から平成19年度までの4年間、学校法人栴檀学園、東北福祉大学、仙台市、株式会社NTTファシリティーズ、株式会社NTTファシリティーズ総合研究所による共同研究として行われたとの事です。
本実験の目的を簡潔に書きますと、ガス発電、燃料電池、太陽光発電といった品質(此処では瞬間的な停電時間という意味で用いている)や安定供給への信頼度が「怪しい」とされている電力における課題を克服し、実際のエネルギー消費者への安定供給を図るためのものでして、電力変換装置と蓄電池を品質別電力供給センターに集めた上にて、そこから各々の実需要家への電力供給を行うと狙いのものでした。
実験終了後も、本実験施設より供給される電力と電力会社から送られる電力を継続して各施設に配電するとともに、発電に伴って出てくる廃熱を利用して一部施設への給湯・冷暖房を開始し、「実物大の教材」として機能するのでした。

新電力による安定供給への道

前章にて紹介した東北福祉大学 エネルギーセンターによる新電力ネットワークシステムが高く評価される事になったのは、平成23年3月11日・東日本大震災の時の事でした。
周知の通り、かの大震災におきましては、水道・ガス・電気などといったライフラインが停止して、それに伴う医療機器の停止により肺炎などを発症して回復することなく亡くなられた方々も、少なからず出てしまいました。それは東北福祉大学 エネルギーセンターを擁する仙台市においても例外ではありませんでした。
しかし、未曾有の大震災時においても件のエネルギーセンターにおいては中圧管が健全であったため、震災後もガス供給が途絶えることなく、また、常用防災兼用発電設備は、商用電力が復電するまでの間、病院や特別養護老人ホームといった重要施設に電力と熱とを供給し続ける事ができたとの事です。
この、大震災にも揺らぐことのなかった一連の設備の稼動、非常時における電力等などの安定供給によって、内外の研究者からエネルギー供給の信頼性、安全性が確認されたことにより多大なる評価を獲得したのだそうです。

おわりに

いかがでしたでしょうか?
此処までの例を提示した事によって、電力の安定供給が従来の10電力会社の専売特許ではない事実が証明されたのではないのでしょうか。のみならず、大手の電力会社でも成しえなかった非常時における電力の供給、ライフラインの確保という事をやってのけたのです。
新電力ネットワークシステムそれ自体は、まだまだ研究の余地を残している技術なのかもしれません。ですが、先の実験からも立証されたように、太陽光発電や風力発電を前面に打ち出したい新電力にとって、安定供給への道を指し示しうる技術であると筆者は考えています。

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