いまさら聞けない新電力って何?

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原発に次ぐ国の新しいエネルギー政策

whats-pps最近の経済ニュースの中で大きな話題となっているものの一つに「電力自由化」があります。
その中で「新電力」という言葉も出てきます。
これは大企業などだけではなく、一般消費者にも関係あることですので、電気を利用している人(ほぼ全ての人?)は皆、概略は知っておきたいものです。

「電力自由化」は、「改正電気事業法」の2016年の施行によってなされる政策ですが、いわゆる「アベノミクス」の一環だといえます。
「アベノミクス」とは、安倍内閣の経済政策のことで、公共事業、金融緩和、成長戦略の三つを「三本の矢」として次々に実行することで、日本経済の停滞要因である「デフレ」から脱出し、経済成長につなげていく計画です。

「電力自由化」は、この中でいう「成長戦略」の一つです。
「成長戦略」とは、企業活動を活性化するために規制を緩和したり、特定の産業分野に政府が支援をして成長を促したりすることです。
電力は経済的な商品でありながら、販売するにあたり規制が多かったので、それを緩和しようという訳です。

逆に言えば、電力は長い間、政府による規制の対象で、東京電力などのいくつかの大手電力会社のみに販売が許されていました。
日本は自由主義経済なので、独占は基本的に望ましくないのですが、完全な自由主義は問題が多いので、現実的には政府による様々な規制が存在しています。

特に、国民の生活基盤を支える産業については、政府が信頼できる企業を選定し、販売を許す代わりに指導監督することは、質の高い製品やサービスを安定的に提供するために必要なことです。

しかし経済に規制をかけることは、産業の初期段階の成長を促すためには有効ですが、産業が成熟すると問題が出てきます。
規制の中では、企業間の競争が起こらないので、新しいサービスや製品が生まれにくいですし、価格も高止まりしたままになってしまいます。
産業が成熟し、社会全体の技術水準も上がると、限られた企業だけが規制の枠内で利益を独占している状況に疑問が生まれます。
そうなると、規制を緩めて、新しい企業がどんどん市場に参入した方が良いという声も大きくなります。
その方が、企業間の競争が生まれ、新しいサービスや製品が生まれたり、価格が低下したりする可能性が高まるからです。

日本では、高度経済成長期が終わった後の1980年代から、政府も「規制緩和」の必要性を認識し始め、その動きが出始めました。
例えば、「日本電信電話公社民営化」「国鉄民営化」「郵便事業の民間開放」「医薬品の部外品化によるの緩和」…などが代表的な事例です。

どれも、国民の生活基盤を支える産業なので規制がかかっていましたが、産業が成熟した後のより高い成長を意図して、市場の規制を緩和し、新規企業の参入を促しました。

電力についても、国民の生活基盤を支える産業であるため、長らく規制の対象になっていました。
しかし、他の産業に比べて遅れましたが、バブル経済の崩壊後から改革の機運が出始め、1990年代後半より段階的に規制が緩和され、電力自由化が徐々に進みました。

政府は、電力契約者を、必要な電力の量(供給電圧や契約電力)に応じて、「特別高圧」(高層ビルや工場)、「高圧」(中層ビルや商業施設)、「低圧」(小規模な商店や一般家庭)に分けています。

以前は全てのカテゴリーについて、大手電力会社(東京電力、関西電力など) しか電力を供給できませんでしたが、電気事業法の段階的な改正により、2000年には「特別高圧」、2004~2005には「高圧」の契約者が、従来の大手電力会社以外から買電することが可能になりました。

そして2016年には、「低圧」の契約者も、従来の大手電力会社以外から買電できるようになります。
これにより、電力市場の規制緩和による、「電力自由化」が完全なものになります。

電力自由化

新電力の登場

「電力自由化」は段階的になされており、従来の大手電力会社以外も市場に参入できるようになりました。
新規参入してきた会社を、従来の大手電力会社と分けて、「新電力(新電力会社)」といいます。

「新電力」は、新たに事業を起こせるとはいっても、電力市場ならではの制約もあり、事業形態に特徴があります。
電力事業は、「発電」と「送電」に分けられます。

「発電」については、新電力が創意工夫を凝らし、独自に行うことができます。
例えば、環境への配慮をアピールしたい会社は、太陽光発電や風力発電などの、自然エネルギーを活用した地球環境への負担が少ない方法で発電します。
また、限られた地域の自給自足をアピールしたい会社は、低コストで運営できる小さな施設で発電します。

ただし、独自の発電設備を持たねばならない訳ではありません。
外部から電気を安く仕入れて、それを供給するという業務形態の新電力もあります。
仕入れるためには、
・企業の余剰電力を買い取る
・電力会社から買い取る
・卸電力取引所で購入する
・様々な自家発電施設から買い取る
などの方法があります。

対して「送電」については、新電力が独自の送電網を整備することは費用的に不可能なので、従来の大手電力会社が持つ送電網を、使用料を払って借りることになります。

このように、新たに事業を起こせる「新電力」とはいっても、全てを独自に担える訳ではなく、従来の大手電力会社と協力しなければいけない部分もあります。
そのため、送電網使用料の負担などもあり、電気料金が劇的に下がる訳ではありません。
しかし、送電網を独自に作って維持管理するよりは安いですし、
また、企業間の競争が起こることにより、各社の創意工夫も活発になり、利用者のメリットとなる新しいサービスの生まれる可能性は高まります。

新電力のメリット

現在すでに、全国の自治体・企業などでは、以下のようなメリットがあるため、新電力への電力切替えをする動きが拡がっています。

●電力不足対策
東日本大震災以降の電力不足に接し、既存の大手電力会社のみに頼ることに不安を感じる人が増え、それとは別の電気の供給先として、新電力が注目されてきています。

●環境対策
水力・風力・太陽光などの自然エネルギーを活用する新電力会社も増えています。
自治体・企業の中では、環境に配慮することを重視して、こうした新電力を利用する動きがあります。

●安い
新電力は、電気を安く作ったり、仕入れたりできるよう、企業努力をしています。
またその供給も、既存の送電線を借りて行うので、設備投資費用があまりかかりません。

電力会社の電気料金には、「基本料金(電気を使わなくても、契約電力量に応じてかかる)」と「従量料金(電気の使用量に応じてかかる)」があります。一般的に、従量料金にあまり差はありませんが、基本料金について、新電力の方が低い場合が多いです。
従って、「契約電力量が大きく、基本使用量を多く支払っているが、使っていない時間帯も多い」という場合に、新電力に切り替えるメリットが出やすいです。

主に平日の昼間に電力消費が集中する中・小規模の事務所ビル、学校、役所などがその例で、現在でも導入が進んでいます。

新電力の展望

2016年の「改正電気事業法」の施行により、役所や大会社だけでなく、一般家庭も任意の電力会社と契約できる、電力の完全自由化が実現します。
これに合わせて、2015年の春の時点で、600社近い新電力が参入しています。
異業種からの参入も多く、例えば通信業界(楽天、ソフトバンクなど)、不動産業界(ミサワホーム、ダイワハウスなど)、各種メーカー(旭化成、神戸製鋼など)、異業種合弁企業(大阪ガスとNTTファシリティーズが立ち上げたエネットなど)など様々です。
これらは、例えば通信業界であれば、IT技術で電気使用量をコントロールしたり、 不動産業界であれば、家の省エネ設計と合わせて電気使用量をコントロールするといった、異業種ならではの工夫も期待できます。

2016年の電力の完全自由化、もうすぐですから、どの新電力にどんな料金プランがあるかなど、少しずつ調べてみてはいかがでしょうか?

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