なぜ東京電力の電気料金は高いのか?

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全国第2位の高額料金設定

502fd8c65b337bcae1d1e7d8aaf65fc72011年3月11日の福島第一原子力発電所事故からというもの、
原発の停止と円安による燃料の高騰のため全国的に電気料金は引き上げられてきました。

特に、東京電力の電気料金は、国内の電力会社の中でも高い水準となっています。
しかし、それはなぜでしょう?この記事では、ニュースや口コミ情報をまじえながら、
東電の電気料金が高騰している理由をご解説します。
パン

東電の電気料金は現在いくらで、全国何位なのか?

 しかし、前提知識として、 東電の電気料金は現在いくらで、全国何位なのかについて確認しなければなりません。
 この点について、現在従量電灯で30A契約をしていると仮定し、一般家庭が1ヶ月に使用する平均量である
300kWhで計算しますと、東電の電気料金は年間122,026円です。

これは、北海道電力に次いで全国2位の高さです。このデータを見ると、東電の電気料金は十分に高いと言えます。
 しかしそれでは、東電の電気料金は、なぜこのように高いのでしょうか?以下、その理由をいくつかご解説します。

理由その(1)~東電の公式説明

 第一の理由は、東電が自らのウェブサイトで公式に挙げているものです。
 それによると、家庭など「規制部門の電気料金単価が自由化部門の単価部門を上回る(約8円/kWh)理由」の1つは
「規制部門の方が電気をお届けするために必要な設備が多いからです(約6円/kWh相当)」であり、
もう1つの理由は「残りの約2kWh相当は、ご家庭など規制部門のお客さまの方が、送電時の損失部分が多いこと」
であると記されています。

もっとも、このように書いただけでは分かりにくいかもしれませんので、
イメージをつかみやすくするために、以下に図を示しておきます。

tokyo-energy

 上の図を見ると、家庭に電気が届くまでには、発電所から

1)超高圧変電所までの送電線
2)超高圧変電所から一次変電所までの送電線
3)一次変電所から配電用変電所までの送電線
4)配電用変電所から各地域の電柱の上にある路上変圧器までの配電線
5)路上変圧器から各家庭までの引込み線

の5段階があります。しかし、特別高圧や高圧の受電者には4)と5)の段階がないので、その分必要な設備や損失する電力が少なくなります。
 しかし、必要な設備の多さや損失する電力の多さだけが電気料金の高いことの理由でしょうか?
別の理由はないのでしょうか?この点については、2.以下でご解説します。

理由その(2)~火力発電の燃料の1つであるLNGを異常に高く購入していた

 東京電力の電気料金が高い第二の理由は、東京電力が火力発電の燃料の1つである
LNGを異常に高く購入していたということです。

これは、2012年7月27日の衆議院経済産業委員会で、日本共産党の吉井英勝議員が指摘したことです。
以下この問題についてご解説します。

 まず、東電の子会社「TEPCOトレーディング」と三菱商事はセルト社を共同出資で設立し、
セルト社はオマーン産のLNGの購入・販売権を有しています。ところが、セルト社は、
アメリカ向けには百万BTU(英式熱量単位)あたり2ドルで販売していたのに、東電には9倍も高く販売していたのです。

なるほど、燃料をこんなに高く購入していたのでは、電気料金を高くせざるを得ません。
 もっとも、この問題が国会で指摘されたのは3年も前のことですから、解決されている可能性もあります。

それに、東電の発電所の全てが火力発電所という訳でもありませんし、東電の火力発電所の全てLNGを燃料としている訳でもないので、
もし現在もなおLNGを異常に高く購入していたとしても、このことだけで電気料金が高いことを説明できないでしょう。

しかしそれでは、東電の電気料金が高いもう1つの理由は何でしょうか?
この点については、3.でご解説します。

理由その(3)~動かない原発の原価償却費や保守費、賠償費用や事故収束費用が費用に含まれている

 東京電力の電気料金が高い第三の理由は、費用の中に動かない原発の原価償却費や保守費、
賠償費用や事故収束費用が費用に含まれていることです。

 まず、日本の原子力発電所は福島第一原発事故の後1基として稼動していませんが、そのうち実に3ヵ所16基は東電が保有しています。
このうち、事故を起こして収束中の福島第一は別にしても、福島第二や柏崎刈羽については原価償却費や保守費がかかります。

発電所は電気を起こして、それを売った代金から原価償却費・保守費・人件費といった経費を差し引いて、初めて利益が出ます。
しかし稼動できないのですから電気を起こして代金を得ることができず、原価償却費や保守費ばかりがかさみ、
これが転嫁されるので電気料金が高くなるののは当然と言えます。

 また、福島第一原発の事故に伴う賠償費用や収束費用は膨大なもので、今年つまり2015年3月11日時点でも既に11兆円を超えているのです。
しかもこの11兆円には、除染で出た土の最終処分の費用や、事故対応のためにかかった公務員の人件費などは含まれていません。

さらに、控え目に見積もっても40年続くとされる廃炉費用や住民などに対する賠償も増えるのは確実と見られています。
これでは東電の電気料金が高くなるのは当然と言わなければなりません。

おわりに

 以上の通り、今回の記事では東京電力の電気料金が高い理由をご解説しました。
まとめていうと、東電の電気料金が高いのは当然です。

これに対して新電力は、そもそも原発を保有していませんからそれに関連する費用がかかりませんし、
既存の電力会社の送電網を利用しますのでそれを維持・管理するための費用もかかりませんから、
東電よりは電気料金が安くなるのは当然です。

来年4月に電力が完全に自由化され、一般家庭でも新電力を利用できるようになるのが待ち遠しいです。

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